大雪が降りました
「21世紀の幕開け」などと言われた正月も今は昔、あっという間に2月になってしまいました。今年は暖冬、との長期予報は大はずれで年明けから強い寒波が襲来し、厳しい冷え込みとなりました。久しぶりに冬らしい冬です。完全に冷え切ったぶどう園で北風に身を固くしながら剪定作業に入りました。穏やかな冬なら、剪定クズを燃やして暖をとりながらアルミホイルでくるんだサツマイモをおき火の中に放り込んで、ぼちぼちと仕事をするのですが、なにしろ足下は氷のように冷たくなり、風が強いのでおちおち剪定クズを燃やすこともできず修行のような剪定になっています。そうこうしている内に雪も降り、特に1/27は甲府でも40cm程、塩山でも40~50cm程の積雪があり、記録的な大雪になりました。これだけの雪が降ると、果樹農家の頭にはぶどう棚やビニールハウスなどに大きな被害がでた3年前の大雪が思い出されます。今回はその時の教訓が生かされたのか、雪も軽いさらさらしたものだったこともあって、果樹施設への被害は殆どありませんでした。27日には昼前と夕方の2回、ぶどう棚の雪下ろしをしましたが、膝下程まで積もった雪をかき分けながら頭上の雪を落とす、文字通り雪まみれになっての作業でした。剪定が進んでいたこともあって棚への負荷はあまりなく影響はありませんでした。
28日からは晴天が続いていますが雪はなかなか溶けず、畑も雪に覆われたままです。雪を踏みしめながら剪定というのも酷ですので、剪定はしばらくお預けです。骨休めには良いかもしれませんが、後にも仕事は詰まっていますので剪定は早く片づけてしまいたいところです。
ぶどうの樹の寿命
「ぶどうの樹はどのくらいもつの(生き長らえるの)??」という質問を良く耳にします。春に芽を出し葉を拡げ、実を付けて葉が枯れ落ちるというサイクルを毎年続けるわけですが、適切に管理することでぶどうの樹は以外と長生きします。勝沼には樹齢100年を越えるといわれる甲州種がありますし、海外にも ” great vine ” などと名付けられた古木があるようです。ぶどうは樹齢が古くなると一般的には樹勢(樹の生育する勢い)が弱まり、果実の収量も落ちてきます。しかしその分充実した果実になり、ワインの質も向上すると考えられています。ワインの物足りなさを「樹齢が若いから」という点に帰結するような評価を目にしたこともあるでしょう。
さて仕立て方法などの管理の仕方にもよるのですが、一般的には30年程度になればよほど状態が良くない限り植え替えということになるでしょう。ぶどうの根を食い荒らす害虫や有名なフィロキセラなどによって枯れることもありますし、枯れないまでも「どうもダメだな」と思って切り倒してみると、樹の芯が空洞になっていることもあります。それからもう一つ、品種の切り替えなど社会的要因 (!!??) によって植え替えを余儀なくされることもあります。
幹も太くなった古木はどっしり風格がありながら、若木とほぼ同じように葉を拡げている様をみると、どうしても人間に重ね合わせてしまいます。齢を重ね、動作は遅くなっても尚溌剌としている方、身の回りにいらっしゃいませんか。