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37July, 1999
梅雨期のぶどう管理

もう3年になりました

毎月ワイナリーの話題をお届けしているワイナリー便り。96年の7月にスタートしましたので、丸3年になり4年目に突入することになりました。毎月おつき合いしていただいているみなさん、ほんとうにありがとうございます。バックナンバーをあらためて見てみると、毎年同じ時期には同じようなことをのせていることに気がつきます。少々マンネリ気味ですが、その時の気分といいますか、アタマの中にただよっている心配事などが微妙に表れているようです。もう少し一年間の仕事の流れがわかるような内容にしたいと考えてはいますが、なにぶん年中無休の肉体単純労働でクタクタになったカラダに少々のワインを流し込んでからが、ホームページのメンテナンスの時間ですので、思うようにアイデアが実現できずに、いつの間にか消えてしまいます。
これからも毎月更新だけは欠くことのないように致しますので、ご愛読の程よろしくお願い申し上げます

梅雨とともにぶどうも大きく育っています

梅雨入り後は晴天続きで、今年の梅雨は空梅雨か、と思いましたが、ちゃんとじとじとじめじめ、大雨ありの長雨ありで、梅雨日々が続いています。ただ、カラっと晴れ渡る中休みもあり、メリハリのある梅雨、という表現があたっていると思います。

さて、開花後のぶどうは梅雨時期に、果実の粒が大きくなっていきます。と同時に、主にカビ類による病気が発生しやすくなります。どのような病気が発生するかは、もちろん天候条件によって大きく左右されますが、ぶどう品種によっても異なります。極々大ざっぱに言って、雨が多く湿度が高いと病気が発生しやすく、欧米系(Vitis labrusca)やその交配品種よりも、欧州系(Vitis vinifera)の品種に病気が発生しやすいものが多いようです。甲州種は一般的に東洋系欧州種と言われますが、例外的に病気に強く、日本での栽培によく適しているといえます。
病気発生への対処としては農薬散布が重要です。もちろん、なんでもかんでもばらまけば良い、というものではありません。病気の発生時期などを予測して、適切な農薬を散布します。また、欧州系品種には、雨除けが欠かせません。レインカット法のようにあらかじめ樹の仕立てから栽培施設までビニール被覆による雨除けが基本になっているものは、この点に関してはほぼ問題ありません。従来の棚栽培の場合は、一房づつ20cm四方程度のパラフィン紙で、小さなカサをかけていきます。今年も6月下旬に約2万枚のカサ掛けを行いました。こうした努力にも拘わらず、不幸にして病気になってしまった房は、ぶどう園をよく見回り見附け次第切り落としていくしかありません。まだ実も硬く、志し半ばにして土に帰ることになった房は踏み付けると、ゴリゴリと小気味良い音がします。もちろん、一房でも多くのぶどうを完熟させ、自然の恵みをワインにまで昇華させるのが、人間の役目です。蒸し暑いぶどう園で、雨露にぬれながらの作業がまだまだ残っています。