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47May, 2000
オレゴン州のワイナリー

ぶどうも芽を出しました

甲府盆地では今年は桜も桃もほぼ平年並みに開花したようです。4月は初夏を思わせるような暖かい日があったかと思えば冷たい雨もあり、季節は少しずつ進みました。月末には晴天の日が多く気温も高めになり、ぶどうも機山ワインのぶどう園では最も早いシャルドネが4/20頃に芽吹きました。以後メルロー、ブラッククイーン、甲州、カベルネソービニオンが続きました。

毎年最も早く芽をだすのがシャルドネです。4/20頃に芽吹きはじめました。
シャルドネ 2000/4/23撮影

芽吹きの揃いもよく(遅い芽と早い芽の差が少ない)順調にのびています。
シャルドネ 2000/4/27撮影

メルローもはじまりました。
メルロー 2000/4/23撮影

ここから先はぐんぐんのびていきます。
メルロー 2000/4/27撮影

シャルドネやメルローから少しおくれてカベルネも芽を出し始めました。
カベルネソービニオン 2000/4/30撮影

新しいワインの発売です

ご好評頂いておりました キザンワイン 赤 1998 は4月末をもちまして完売いたしました。皆様のご愛顧に心より御礼申し上げます。例年春から夏にかけてご要望が多いにもかかわらず、品切れのため赤ワインの出荷することができませんでした。お客様にはご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんでした。本年は5月よりキザンワイン 赤 1999 (720mL/¥1200) を発売させていただきます。
昨年の秋には天候にも恵まれて充分な原料を確保することができ、予定通り赤ワインを仕込むことができました。キザンワイン赤1999も1年半程度の在庫量を用意しております。充分に熟成し調和のとれたワインになるまでにはしばらく時間が必要ですが、若いうちからも飲みやすいタイプに仕上げてありますので、今からお楽しみいただけるものと考えております。
今後もより質の高いワインをお楽しみいただけるよう努力する所存ですので、引き続きご愛飲のほどよろしくお願い申し上げます。

キザンワイン赤1999 (720ml 1200)

ブラッククイーン(80%)、マスカットベリーA (20%)。赤みがかったすみれ色。フレッシュなカシスやストロベリーといった果実香を追いかけるように青草のような香りやシナモンのスパイシーな香りが感じられます。軽い渋みと若々しい酸味が特徴のミディアムボディーのワイン。口に含むと爽やかなミントなどのハーブの香りがより強く感じられます。後味にはブラッククイーンに特徴的なイチゴミルク様のクリーミーな口当たりが残ります。まだ若いワインですが、やや冷やして飲まれるとバランス良くお楽しみいただけます。今後の熟成により色、味わい共に深みと厚みを増していくと考えています。

アメリカ西海岸のワイナリー <オレゴン州>

先月のワイナリー便りでご紹介したワシントン州に続いて、今月はオレゴン州のワイナリーをレポートします。

ポートランドの宿を2/22の朝7時過ぎに出発。バスにゆられて約1時間でDundee (North Willamette Vally)に到着しました。

• Archery Summit
www.archerysummit.com
1992年にカリフォルニアのPine Ridge Vineyardsのオーナー Gary Andrusによって設立されたArchery SummitはPino noirに重点を置いたワイナリーで、建物の設計や設備全てがPino noirのために考えられています。マストやワインをポンプを通すとせん断力によりマストやワインを痛めるという考えから、全ては重力により移送できるようになっています。つまり最も高いところでぶどうを破砕して、破砕機より低いところにある発酵タンクに落とし込み、さらに低いところにある樽庫で熟成。充填ラインは資材の出し入れのためか少し高いフロアにあるので、そこまでは小さめのタンクを専用のリフトで揚げるという徹底ぶりでした。樽庫は洞窟状でジュラ紀の地層にあるとか…。極力ポンプを使わないように建物を設計するというのは最近よく見られるようです。ポンプがどの程度ワインを痛めつけるかは別としても、仕事はやりやすいと感じました。人力に頼っていたその昔は、地形を生かして上から下へ移送するように考えられていたのでしょうが、大きなコストをかけて建物を何層にもするというのは贅沢なものです。
肝心のワインは非常に洗練されたものでした。Pino noirの奥の深さを充分に堪能できるものです。


• Sokol Blosser
www.sokolblosser.com
Archery Summitのすぐ近く。1977年に設立されたワイナリーでArchery Summitのピカピカ設備を見た後だけに少し建物や設備は古く感じました。決してそんなこともないとは思うのですが、以前Robert Mondaviにいたというwinemaker氏も建物に空調がないのでマロラクティック発酵が起こしにくいとか、タンクは改善するべきだとか問題点を語ってくれました。テースティングはPino GrisのブレンドからChardonnay、Pino noir、最後はice wineまであり、幅広いものでした。Chardonnayはいまひとつとのことで、現在苗を植え替え中。
Archery Summitと好対照でしたが、個人的には資本にものを言わせて豪華にやりまくるより、問題点を抱えながらも、それをひとつずつ解決しようとする姿勢に共感を覚えました。

昼食は近くのBistro DundeeでPizzaなど。レストランの横にはセンスの良いワインショップ(テースティングカウンターもあった)と雑貨屋さんがあり少々買い物。
• Erath Vineyards        
www.erath.com
午後から降り出した雨の中、Erath Vineyardsを訪れました。オレゴンの中では大きなワイナリーで、テースティングルームはこぢんまりとして、快適そうでした。さて、ワイナリーの中は対照的にやや暗く、あまり衛生的な印象は受けませんでした。しかしワインは果実の性質をよく反映したと感じられるもので、設備の印象とは若干異なっています。帰り際にはロゴ入りの帽子をお土産に頂き、一同ご機嫌ででした。

オレゴンといえばPino noirということになっていますが、今回の3つのワイナリーのPino noirはどれも非常にバランスが良く、品の良さを感じました。あまり古いvintageに出会うことがなかったのですが、熟成することでブルゴーニュとはまた印象の違う世界がひろがるのではないかと思います。ただやはり栽培が困難なようで、特に収量の低さはワインの品質を高めるという印象につながるので良いのかもしれませんが、そのコストに応えてくれる市場、あるいはワイナリーの資本力などが必要と思いました。
またお手軽なPino Gris主体のブレンドは安くて親しみやすく、気軽なレストランでも注文しやすいワインとして好印象でした。