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49July, 2000
ナパバレーのワイナリー

ホームページを引っ越しました

今月からホームページを新しいURL ( http://www.kizan.co.jp ) に引っ越しました。ブックマークの変更をお願いします。また、メールアドレスも同時に変更しました。前のアドレスも当分は使えるようにしてありますが、今後のお問い合わせやご注文のメールは mail@kizan.co.jp にお願いします。インターネットの世界はすごいスピードで新しくなっているようですが、機山ワインのホームページはやっと先月久しぶりに表紙だけ変わって、やっと今月URLを短くすることができました。新しいものにはやっとの思いでついていくのが精一杯です。人気のホームページ (最近はweb siteという方が多いでしょうか)は毎日更新されて当たり前のようですが、こちらも毎月更新も月末にあわてる夏休みの宿題状態です。

梅雨とぶどう

甲府盆地も6月上旬にほぼ平年並みで梅雨入りしました。いままでのところ降水量も多く梅雨らしい梅雨というところでしょうか。大雨の後にカラッと晴れ渡る期間も少しあり、なんとかぶどう園での作業をこなせている状態です。 梅雨入りしたころは花が咲き終わり、あるいはカベルネソービニオンのような遅い品種では花の盛りをやや過ぎた程度で、結実した粒の大きさもマッチの頭位でしたが、充分な雨と気温のお陰で収穫時の6~7割程度の大きさにまでなってきました。まだ粒は青く堅いままですが、だいぶぶどうらしくなってきました。
梅雨はまさに高温多湿の雨期で、日本の気候が熱帯性のものであることを実感させられます。梅雨は恵みの雨をもたらし、日本の風土を生み出す重要な時期であることは間違いありません。しかし、果樹栽培にとっては受難の時期でもあります。特にぶどうににとってはしばしば深刻な被害を生み出すカビが、この時期に旺盛に繁殖し、ぶどうの正常な生育を妨げてしまいます。カビの種類によって病気の呼び名や症状、発病の時期も少し違いますが、なんといっても6月から7月に発病し、あれよあれよという間に広がってしまう病気が多いのです。農薬散布や雨よけ対策などで被害が広がらないようにするのですが、天候がカビの生育に適したものにバッチリ合ってしまう場合、完全に病気を押さえ込むのは大変困難です。梅雨の晴れ間に農薬散布をしたり、ぶどう園を見回って異常がないかを確かめたりと気が抜けない時期です。

アメリカ西海岸のワイナリー <ナパバレーその2>

今月はナパバレーの2日目のツアーをレポートします。

• Markham Vinheyards

1988年にメルシャンが買収したワイナリーです。Tasting roomやshopはまるでセンスの良いホテルのような雰囲気です。醸造設備は新しく、大型のステンレスタンクがずらっと並んでいます。「設備投資をしてワインの質も向上させたのですよ」というパターンの典型のようです。日本人はさすがにお金持ちだね…とさめた目で見ている人もいることでしょう。案内してくれたwinemaker氏も一応その点を認めていました。もちろん設備が良ければあとはどっちでも良い、ということでは決してありませんので、ぶどうやワイン造りの考え方などが同様に大切なのはいうまでもありません!!
見学に訪れたときは赤ワインのタルからのオリ引き作業中(ワインをタルから抜き取り、底に溜まったオリを取り除きます)。作業は淡々と進められていました。
さて、Markhamのワインは日本で最も手に入りやすいカリフォルニアワインの一つだと思いますが、現地でtastingしたワインはどれもバランス良いものですが、インパクトに欠ける、といってしまえばそれまでという感じでした。果実味を必要以上に強調したスタイルは過去のものということでしょうか。


• St. Clement Vineyards
www.stclement.com
1987年からサッポロビール所有していたワイナリーですが、見学に訪れる直前にBeringerの手に渡ったそうです。小規模のワイナリーですが、Markham程お金はかけなかった (!?) ようです。設備はこぢんまりとまとまっており、作業の流れが容易にイメージできました。 ワインは柔らかでエレガントなスタイル、とのことでしたが、カベルネソービニオンなど力強さも感じられます。


• Opus One
www.robertmondavi.com
最後はかのOpus One です。建物の外観は要塞の様で入るものを拒むといった感じです。もちろん予約も見学料も必要ですが、誰もが一度は行ってみたいところでしょう。豪華な応接間のようなところで案内の方を待ちます。ある人は「ホテルの様だ」と言い、ある人は「病院の様だ」と形容しました。豪華で美しく、しかし冷たい一面も感じられるということと理解しました。たとえ可能であっても一人や二人では入りづらいかもしれません。
見学はタンクの上から始まります。ぶどうはリフトで階上まであげられ、選果台で未熟果を取り除いて破砕されます。破砕機はタンクの真上に置かれ、ポンプなどを使わずにタンクに落とし込まれるようになっています。タンクは思っていたより大型ですが、タンクの回りのスペースがゆったりととってあり豪勢です。圧搾機は縦型のバスケットプレスで穏やかに圧搾するとのことです。タル貯蔵庫は二つに分かれており、その内の一つはどこかで見覚えのある円形の貯蔵庫でずらっとタルが並んでいます。その一角にはガラス張りの壁があり、その向こうにはVIPルームとおぼしきところが…。
最後はOpus Oneのtastingが待っていました。tastingとはいっても量的には充分あり、様々な演出効果もあって満足度は高まるばかりです。他の見学グループと重ならないように配慮されていて、Opus Oneのステータスを高めるための工夫が随所に見られました。
今回は訪れませんでしたが、向かいのRobert Mondaviご本家では新しい建物を新築中で、大型のオーク発酵樽や、ポンプを使わない重力による移送などを取り入れているそうです。益々のご発展をお祈り申し上げました。

さて、アメリカ西海岸ワイナリーツアーはいかがでしたでしょうか。今回のツアーは日本でワインの醸造に関わっている方々のグループでしたので、実際にはぶどう栽培からワインの醸造まで細かなことにまで質問や議論が交わされました。様々な考え方を持った人たちが、様々な条件の中でワイン造りに取り組んでることを実感することができました。皆さんもワイナリーを訪れたときには、黙ってワインを口にするだけではなく、疑問に思ったことや、感じたことなどを思い切って話してみてはいかがでしょうか。何気ない一言でワインの世界は随分と広がるものです。