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44February, 2000
冬の仕事

1月はおだやかに過ぎていきました

記録的な暖かさだった1月も下旬には寒波が押し寄せ、久しぶりに寒さを実感することができました。雪国では積雪も多く大変だったことでしょう。山梨は盆地特有の朝の冷え込みはあるものの積雪量はあまり多くありません。今年に入ってから雪らしい雪は一度だけで、その雪も直ぐに溶けてしまいました。しかし、98年1月の大雪によるぶどう棚の倒壊が記憶に新しいだけに、この時期の天気予報には敏感になっています。ここのところ暖かい冬が多く、寒いといっても、” 昔の寒さほどではない ” とよく言われます。確かに子供の頃は霜柱が一日中溶けなかったり、お寺の池が凍ったりしたものですが、最近はほとんど見かけることはありません。

この時期の仕事

” ワイナリーの仕事は夏から秋の収穫時期にほとんど終わって、後はヒマなんだよね ” と思っている方も多いことでしょう。確かにもっとも多くの仕事が集中するのが収穫期ですが、冬も春もやらなくてはならないことはたくさんあります。
冬の山梨は乾燥し、カラッと晴れ渡る日が多くなります。真っ青な冬空の下ではぶどうの剪定が行われます。前の年に伸びた枝のほとんどを切り落としてしまいます。樹のバランスや収穫量を左右する大切な作業です。バランスを崩したぶどうの樹は枝ばかりが旺盛に伸びて実が充実しなかったり、反対に枝が弱々しくなってしまい収穫量が減ってしまうこともあります。文章で説明するのは難しいのですが、剪定を数値化して樹の状態を把握する為に、剪定して切り落とした枝の重さを量ることがあります。枝の重さとそれに着いていた実の数、剪定後に残った芽の数から、指標となる数値を計算する方法が知られています。このような方法も採りれながら、その年の剪定の方針を決めてから作業にとりかかります。とはいえ全ての樹について把握するのは大変ですので、一部だけ検討して、あとは傾向を見ながら”経験と勘”の世界に入っていきます。
さてワイナリーの中では99年のワインのろ過などの仕事がはじまっています。タンクの中でワインは自然に清澄し、底には澱が溜まっています。ほぼ透明になったワインをさらに澱下げ剤(ベントナイトやゼラチンなど)で透明度を上げ、ろ過を行います。管理上必要な分析とテースティングを行い、目指す方向に行っているかを随時確認しながら進めます。ろ過後のワインは今月下旬から順次ビンに充填し、貯蔵庫で熟成させます。樽で熟成中のワインからも澱を取り除きますが、ろ過はせずにまた樽へ戻し熟成させます。こうしてぶどう園では次の収穫のために作業する一方、ワイナリーの中では昨年の成果を形にしていく作業が進められているのです。