今年はなんでも早い!!
長い梅雨もちょっと出口が見えてきたようですが、まだまだじめじめした天気が続きそうです。山梨の果樹農家もスモモに始まり、桃の出荷といよいよ忙しくなってきたようです。今年は例年に比べて、すべての作物が早く実り、出荷作業に他の作業の時期が重なって大変です。新聞などでも公園の花が早く咲いたとか、出荷が例年より早く始まったなどという話題がよく見受けられます。もちろんぶどうも例外ではないでしょう。収穫時期の見込みをつけるのはもう少し先ですが、例年より遅くなることは絶対にないでしょう。時期はともかく、完熟したぶどうを収穫できるように祈るのみです。
ぶどうには病気も発生
今年の梅雨は梅雨らしい梅雨、と言われていましたが、6月はさすがに降水量が多かったようです。春先の高温で軟弱に生育したこともあってか、ぶどうの病気の発生が例年になく多くみられました。ぶどうに付いたカビがじめじめした天候が続くと房や葉に広がり、実らなくなってしまいます。ほっておくと、堅いままでぽろぽろ落ちてしまったり、腐って全滅、ということにもなりかねません。特に欧州系の品種はこういった病気に弱く、注意が必要です。”見つけたときにはもう遅い”などとも言われますが、とにかく農薬を散布して切り抜けます。不幸にして病気が付いてしまった実は見つけ次第取り除きます。全身病気だらけ、までいかなくても早めに取り除かないと周りの健全な実にメイワクがかかります。切り取った実は踏みつけるとゴリゴッと良い音がします。しかし、それはワインになれなかったぶどうの断末魔の叫びにも聞こえます。せめて樹に残ったぶどうを完熟させて、ワインの仕込に到達できるようにしなくては、と思う瞬間です。
雨よけの威力
高温多湿の日本で健全なぶどうを収穫するためのポイントの一つは、いかにぶどうの実と雨との接触を少なくするかということです。レインカット方式はまさに読んで字の如く、垣根全体をビニールで覆い、”レインをカット”し、威力を発揮します。棚栽培で病気が発生している品種でも、レインカットでは病気の発生も見られず、現在のところ順調に生育しています。では棚栽培では”レインをカット”できないのか… 手間はかかりますが、カサをかけてやります。一房づつ切り込みが入った正方形の紙をカサにしてホッチキスでとめる。途方もなく手間がかかる作業です。甲州種のような比較的病気に強い品種は必要ありませんが、欧州系の品種では必須の作業です。
レインカットの被覆
戦いはこれから…
月が変わり、日によっては真夏の日差しが照りつけるようになりました。低温でじめじめ、という天気はどうやら終わったようです。とはいっても、ぶどうが本当にデリケートになるのはこれからです。台風の発生が少ないといっても安心材料にはなりません。一日の仕事が終わって布団に入るとまぶたの裏にぶどう園の様子がよみがえってきます。あと約2ヶ月。天気に恵まれて良い年になるように祈る毎日が続きます。