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7January, 1997
ブランデーの蒸溜

今月のぶどう園

葉はすべて落ちてぶどう園は冬の装いです。
この時期、ぶどう園には堆肥を入れて耕します。新しい芽ぶきのためのせんてい作業が待っています。

今月のお仕事

• 蒸留
冬はブランデーの蒸留のシーズンです。甲州種ぶどうから造った原酒はまだ濁っていますが爽やかな香りが立っています。これを銅製の蒸留機で蒸留します。蒸留を順を追って見ると ・・・。

◦ まずは蒸留機を水洗いします。そして水を蒸留して手が届かないところまできれいにします。蒸留の熱源は重油バーナーの炎。火をつけている間は目が離せません。さて明日から蒸留。


◦ 朝6時。約300リッターの原酒を釜に落として加熱を始めます。火の具合を気にしながら朝食。8時頃に蒸留液が出始めます。このときの蒸留液のアルコールは40度くらい。無色透明のとても香の強い液体です。アルコール度や温度をチェックしながらタンクへ集めます。


◦ アルコール度は少しづつ下がっていき、香りも変化していきます。アルコール度が1度以下になったところで火を止めて廃液を出します。ここまでで蒸留液が出始めてから約3時間経っています。


◦ この日二回めの蒸留を始めます。朝一番と違って釜が暖まっているので火をつけてから蒸留液が流れ出すまでの時間が短くなります。時間を見計らってもう一度蒸留をします。 一日で約800リッター位の原酒を蒸留したことになります。


◦ こうして何度も同じ作業を繰り返します。すべての原酒を蒸留して、一度目の蒸留が終わります。これで終わったわけではありません。二度目の蒸留が待っています。そうです。ブランデーはウイスキーと同じように二度蒸留をするのです。


◦ 同じ蒸留機をつかって二度目の蒸留を進めます。一度目の蒸留で原酒のアルコール度は25度以上になっていますから、最初に流れ出してくる蒸留液は70度にもなります。清れつなアルコールの香の中にも熟した果物を思わせるような甘い香も感じさせる、なんとも表現が難しい複雑さです。アルコール度をチェックして約70度から60度位のところをタルへ入れるために分けておきます。ほかの部分は次の蒸留へ混ぜ、もう一度蒸留されることになります。


◦ 一度目の蒸留より時間がかかりますので、一日に2度しかできません。蒸留を始めて1週間。ようやく終わりが見えてきました。でき上がったブランデー原酒をタルへ入れます。眠気をガマンしながら作業をした日々をしめくくるのにふさわしい、充実した瞬間です。


タルは裏手の土蔵に収めます。こうして蒸留は終わります。この原酒が蔵から出されるのはいつのことでしょうか。はっきりいって見当がつきません。

今月のひとりごと

新しい年がやってきました。96年もいろいろあったけどぶどうの出来はいいとしだったなー、というのが実感です。新しいぶどうも植えたし、試験的な仕込みもいくつか出来たし。その分いろいろな課題が出てきたのも確かです。それを一つ一つ納得行くように解決していくのがワイン造りの妙味かもしれません。さて今年はどこまで出来るのかな。あまり真剣に考えすぎると身が固まってしまいます。少し楽観的な方がいいようです。今年もがんばりますので、機山ワインをどうぞ宜しくお願いいたします。