ワイナリー便り

vol.66 2001/12



2001年新酒を少しだけ発売します
今年も残すところあと1ヶ月となってしまいました。本当に月日の経つのは早いものです。山梨の田舎でワイン造り、というと静かでのんびりした仕事と感じる方も多いと思います。しかし一年中仕事に追い立てられている、実体はそんなものです。さて今年収穫したぶどうからワインが出来上がりました。キザンワイン白新酒2001を例年通り少しだけですがご用意致しました。この時期だけの旬のワインを是非お楽しみ下さい。
キザンワイン 白 2000 新酒 (720ml \1200)
2000年収穫の甲州種100%。フレッシュな柑橘系の香りと熟した果実を思わせるはつみつ様の香りがほのかに感じられます。ふくよかな口当たりとともに、爽やかや酸味が広がるやや辛口の白ワインです。豊かな果実味と切れ味の良い後味がバランス良く、冬の食卓に良くあうワインです

新酒は数量が限られておりますので品切れの際はご容赦下さい。

「スパークリングワイン」を発売します。
昨年来取り組んできました伝統的なシャンパン製法によるスパークリングワイン「キザンスパークリング トラディショナルブリュット」をいよいよ発売致します。日本のぶどう品種でスパークリングワインを造ってみようという素朴な発想で、器具の調達やワインの品質設計などゼロからのスタートでしたが、皆様にお楽しみいただけるスパークリングワインに仕上げることが出来ました。
「キザンスパークリング トラディショナルブリュット」では、スティルワインとは別の新たな甲州種の魅力を見つけだしていただけるものと思います。
キザンスパークリング トラディショナルブリュット (750ml \2800)
麦藁色 レモンや青リンゴといった香りに加えて酵母由来の香ばしさも感じられます。僅かにアルデヒディックな香りが全体に複雑味と重厚さを与えています。 クリーンでバランスの良い柑橘系とクリーミーで香ばしい焼きたてのパンのようなフレーバー、青々しいハーブのような味わいも感じられます。ミドルも上品な渋味で非常に重厚感のある味わい。穏やかな酸味のフィニッシュは非常にドライでバランスが良く爽やか。心地よい飲みごたえが長く余韻として残ります。 

Yukariの読むワイン
アッという間に師走です、今年もあと30日を切りました。ワイン屋という商売は、一年の後半は前半の半分ほどに感じられます。皆さんはここまでどんな年だったでしょうか?まだまだリベンジのチャンスあり!少し振り返ってやり残したことを片づけたいと思っています。今回と次回で少しやり残したテーマをフォローしたいと思っています。おつきあい下さい。


11 微生物による汚染-番外編1 ゼラニウム臭

いろいろな参考書で良く目にする言葉で、実際お目にかかった事のないオフフレーバーがこの”ゼラニウム臭”です。発見されたのは1975年と古く、ある種の乳酸菌やバクテリアがソルビン酸を分解して生成する香りということが知られています。

ソルビン酸は酵母やカビの活動を抑える働きがあり、多くの国でワインに使用されています。日本では食品への使用は認められていますがワインに添加することはできません。
殆どの酵母に有効であり、比較的安価なので広く使用されている一方で、酵母を殺すのではなく活動を抑えるだけであること、ワインのpHが高い場合やアルコール濃度が低いと有効性が低いこと、さらに有効濃度と考えられる200mg/L程度でワインの味に影響を及ぼす可能性があるという欠点があります。

さらにある種の乳酸菌やバクテリアはソルビン酸を分解し2-ethoxyhexa-3,5-dieneを生成し、これが腐ったような、嫌な香り、ゼラニウムの葉の様な香りを呈します。いったん汚染されるとこの香りは取り除くことが殆ど不可能で、ワインは商品価値が無くなってしまいます。

ワインの場合、一般的に無菌充填のターゲットは酵母であり、瓶詰め後の赤ワインには乳酸菌やその他のバクテリアが存在する可能性があります。このためソルビン酸は白ワインに限定して使用するべきです。さらにバクテリアの生育を抑えるために最低20ppm以上の二酸化硫黄の存在下でソルビン酸を添加する必要があります。現在ではソルビン酸の使用は甘口白ワインに限られているようです。

セラーのサニテーションの向上などでバクテリアによる汚染も少なくなってきており、ソルビン酸の使用も減ってきています。私が幸いにもゼラニウム臭のするワインに出会ったことのないのはこのためだと思います。でもゼラニウムの葉ってそんなに嫌な香りがするのでしょうか?嗅いでみたいようなみたくないような・・・・

次回はこれまた気になっているテーマの一つBretttanomycesによる汚染についてまとめてみます。
ワインについての技術的な質問などありましたらYukariまで是非お寄せ下さい。  

奥野田葡萄酒の”おかみ”中村知子さんとの赤裸々なワイナリー裏話"ワイナリー若おかみのホームページ"も是非ご覧下さい。